お囃子 他の神輿祭と異なりお囃子のリズムに合わせて神輿を担ぐ(地元では揉むという)特異な神輿主体の祭。
祭囃子は基本的には三川囃子の流れをくむ同じ調子の旋律。各町は途中の旋律に工夫を凝らしたり速さを工夫したりして
乗りの良さを競っている。特に田町と仲町は特徴のある旋律を挿入してあり遠くから聞いてもすぐわかる。
聞いただけで全町内の区別がつく人はかなりの通人。それぞれ神輿を担ぐ時の囃子以外に各種芸座(下座)を休憩時間に披露する。
神輿 8月5日の昼間は十町の連合渡御として朝から大量の水をかけるので神輿の寿命は短い、最近では一町で三基保有する町もあり
連合渡御では総数20基を超える。大きさは台座で1.5尺〜3尺といろいろあり形状も関西風〜三社タイプまで様々、最近では台座が
小さく屋根が大きい三社風が多い。製造も行徳・浅草・上州・新潟と様々あり。掛け声は「あんりゃーどした!」は共通、他に
「すっとこどっこい、きたこらさっと」や「そーれそれそれ」・「よーいよいやさっと」・「明日はないぞ!」などを囃子の合間でのタイミングに
上手に入れて盛り上げる。他に神社所有の三尺規模の古い神輿がありその年の年番町だけが担げる。製作は江戸時代らしいが
作者不明。これには水はかけないので修理しながら今まで継承されている。
女神輿 8月4日の夕刻から中央地区に十町の女神輿が集まりだす。歴史は浅く十数年前に神事とは関係なく東・西本町が商店街の行事として
始め、年々参加町が増え、平成11年に全町が出揃う。今では全国でも珍しい女神輿の連合渡御として観衆の人気を集め主要行事となる。
山車 もともと神輿主体の祭なので山車は佐原や成田に比べ簡素。地元では「屋台」と呼び昭和初期まで稚児行列を先頭に木製車輪で
引き回した立派なものがあったが今はトラックの荷台に乗せて動く二階建式。主に8月4日の昼間に花代集めに
使われる。所有してい
る町は少なく年番町は所有している町から借用して使う。一階には囃子連が演奏し、二階からは時折止まって歌謡や舞踏を披露する。
* 神輿や各町の特徴など 囃子の特徴など
1 東本町 八重垣神社神社の宮本町として誇り高い。江戸系の「粋」を基本としてセンスが良い、中型ながら浅草:宮本神輿店(平成10年我孫子:椎名匠店にて修理)の唐破風・梨地屋根の神輿は美しい。平成20年には椎名匠店にて子供神輿を新造。 歴史はさほど古くは無いが玄人級の太鼓方などがおり技術も高い神社境内の会館にて練習を重ねる囃子のテンポは砂原に次いでゆっくり系(平成20年の印象)
2 西本町 30戸足らずの町内ながら大きな神輿を担ぎ囃子連に女性が多い江戸系の「粋」が基本で大人っぽい。タフな同好会との親交も深く三社系とも交流がある。平成21年の年番に向けて新造神輿を行徳:中台神輿店でオリジナル仕様の神輿を製作中。俳優:地井武男氏の出身町で町区と地井氏の親交も深い。 無形文化財:米倉囃子連の応援もあり、歴史は浅いが約30名中約半分が女性、米倉囃子連との合同では60名近い人数を誇る。神輿担ぎ手の大人っぽさに呼応してかややクールな感じの囃子連だがテンポが速く軽快なので神輿の担手は乗りがいい
3 横  町 十町中最も少ない戸数ながら富谷地区の囃子連の応援もあり他町に負けず堂々の演出。作者不明なれど屋根に特徴的な装飾金板を配し明るいブルーの化粧綱など独特の雰囲気を持つ神輿。中央地区で最終時刻の東・西との三町競演は見もの。 富谷囃子連の応援もあり他地区からの参加者も多い戸数が少ないためか結束が固く毎年この町の出身者も応援に駆けつけ若い層も多い。囃子のテンポは標準的でノリも良い。平成22年度年番町
4 福富町 駅前を中心とした町で特徴的な丸太風担ぎ棒の白木風神輿を持つ(平成13年我孫子:椎名匠店にて新造)古くからの大農家や地主が多い地区で渋い袢纏にも風格がある。近年、人気女性創作和楽器トリオなどとも親交があり休憩時などに楽しく斬新的なパフォーマンスを見せてくれる。 比較的オーソドックスな囃子ながらテンポが良い若い担ぎ手が多く元気が良く年配者との連携も良い。駅から見渡せる露店商の多い見徳寺から門前十字路にかけて4日・5日の祭終了前の萬町との二町連合は恒例となりつつある。平成23年度年番町
5 萬  町 別名:門前町とも称し囃子連の親和会は技術の高い強固な組織力を持ち佐原系との交流も深い祭マニアが多い。神輿は(今は無き行徳:後藤神輿店の作)で彫物が多く価値の高い高級品、渡御の演出は重厚で玄人好みのこだわりがある。同好会の参加も多い。自町に八日市場東照宮という神社もあり5月に葵祭と称し神輿渡御の例大祭を行う。 最もテンポが遅く重厚な感じの囃子だが平成20年からややテンポが速くなった。デカい太鼓に大型のチャンチキの響きは遠くからでも門前とわかる。新人の養成にも力を入れかなり技術が高い
6 田  町 囃子は途中に独特の旋律をはさみ乗りの良さで若年層に人気がある。囃子連の組織がしっかりしており、子供達の育成にも熱心。平成20年には神輿を行徳::中台神輿で全面改修し重厚さを増す。 仲町と共に大変特徴的なお囃子で軽快で乗りが良いので若い層に人気がある中高生の動員力で一二を争う。子供囃子達の技術も高い。テンポは最も早い系で軽快。
7 上出羽 30戸足らずの町ながら十町中最大級の三社型神輿(生地は群馬・仕上げは我孫子:椎名匠店)を繰出す、神輿が重いため女神輿の担ぎ手が大変な時もある、他に浅草:宮本神輿店の中型と自作の子供神輿も所有。強力な動員力を持つ同好会の応援もあり、青年会の結束が固い,平成21年諸事情により急遽、我孫子:椎名匠店で新造中である。約3ケ月という短期間で神輿新造が決まり多額の寄付が集まった。上出羽町のパワーの凄さを感じる。 篭部田囃子連の応援もあり演奏間に一呼吸置独特の祭囃子を数年前から採用。テンポはゆっくり系だったが平成20からやや早いテンポを採用し重い神輿の担ぎ手に配慮。
8 下出羽 唯一太鼓用の引車を持ち女性の太鼓方は見栄えがする。神輿は平成17年に我孫子:椎名匠店にて新造、唐破風の見栄えがする神輿に仕上がる。大型の山車を所有する。神輿を高く上げた(地元では神輿をサスという)後に神輿を激しく上下に振る伝統的な担ぎ方を現在も守っているこだわりの町区でもある。 囃子連(青年会)の組織が固い、神輿の後から囃子連が追うという独自形式だったが渡御が遅れぎみになるため数年前から他町形式に変更。テンポは伝統的な旋律ながら軽快で場面により遅くしたり早くしたりの柔軟性を持つ
9 仲  町 特徴的な囃子でファンも多い中型ながら細かい立派な細工(今は無き行徳:後藤の作)美しいフォルムで価値の高い神輿を持つ夜は神輿提灯を化粧綱につけているのが特徴的大型の山車を所有し神社に預けてあるので多くの年番町が借用して使わせてもらう。 田町と同じく特徴的な囃子でテンポがよく乗りが良い中高生の動員力で一二を争う。囃子連ノリも良く神輿との一体感が見事。囃子連の人数も多い
10 砂 原町 神社からは最も遠い地区にあるが歴史の古い囃連は無形文化財として伝統を誇る。神輿は三社型で屋根が大きく見た目が重そうに感じる比較的戸数も多く住民の協力も厚い。 無形文化財として伝統を誇り基本に忠実。大正時代から下総砂原連中としてレコードも発行していると聞く。平成20年の囃子のテンポは十町最もゆっくりしている感じを受けた。
全体として 戸数が100〜300戸以上の大きな町区(萬町・田町・下出羽・砂原町)などは伝統としきたりを重視する傾向を感じる。】
*執行部の年齢層が比較的高くなるためやや保守的な傾向に傾きやすい。
*寄付金など動員力があるため資金力に苦労しない。
*年齢層の違い・旧住民・新住民や同好会との考え方の相違など統率が難しい
*一部の派閥的なグループの台頭が見られる場合がある。

【戸数25〜30戸前後(西本町・横町・上出羽)などは戸数が極端に少ないため他地区の囃子連や同好会の応援が必須となるため柔軟で斬新的な傾向にある】
*戸数が極端に少ないため他地区の囃子連や同好会の応援が必須となるため柔軟で斬新的な傾向にある
*執行部や世話人の年齢層が若く、アイデアや演出力で人気を得ようとする努力がみられる。
*最大の悩みは資金力で祭での町区対抗というライバル意識でかろうじて面目を保っているが、そろそろ年番制度の見直しも必要かもしれない。
*小戸数で同じ悩みを共有するためほぼ全員の理解が早く協力的で意見のとりまとめや決断や動きが早い。

【戸数50〜60戸程度の町区(東本町・福富町・仲町)などは、両方の問題が拮抗しているが、どちらかというと小戸数の町区に近い】
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